クリップ部分を横方向へ

魚を掴むフィッシュグリップの使い方とブツ持ち撮影の注意点

今回は、釣り上げた魚を掴むフィッシュグリップのお話。

魚を掴むグリップに関しては、アジやタチウオ等に使われる『トング』タイプの物と、シーバスや青物等のルアーフィッシングに使われる『マジックハンド』のようなタイプがあります。

トングタイプについて、これと言った補足は必要無いかと思いますので、今回はルアーフィッシングで使用されるフィッシュグリップの使い方について。

トングタイプ
トングタイプ

フィッシュグリップ
フィッシュグリップ

8年以上愛用しているフィッシュグリップですが、釣行の際に無くてはならないほど便利なアイテムの一つとなりました。

一方、フィッシュグリップを使用する際、気を付けておきたい要点もあります。今回は、その部分を含めた「フィッシュグリップの使い方(魚の掴み方)」について、書き起こしてみたいと思います。

フィッシュグリップを使うメリットと使用方法について

まず最初に、シーバスや青物といった比較的大きな魚を対象とした釣りでは、釣り上げた魚を素手で掴まず、「フィッシュグリップ」という道具を使い、持ち上げたりフックを外す事が多くなります。

文章にすると難しく聞こえますが、要は魚を掴むアイテムという認識で、フィッシュグリップを使うメリットとしては、下記の項目が挙げられるかと。

フィッシュグリップの利点

  • フックが刺さるのを防止
    釣り上げた魚からルアーを外す際、頭を振って魚が暴れる事も多く、素手で掴んでいるとルアーまでの距離が近くなり、フックが刺さって怪我をする可能性も。
  • 魚から自分を守る
    鋭い牙を持った魚や、顎の力が強い魚、毒を持った魚等が釣れる事も有り、そういった魚によって怪我をしない為に利用する。
  • 魚臭くならない
    素手で魚を触るのが苦手な人や、魚の臭いが苦手な場合、フィッシュグリップを使えば、魚に触れる事をある程度は回避できます。

その他には、魚の保持力が強く魚が暴れても落としにくい・親指の根元がガサガサにならない・魚の粘液に触れる事が無い(魚体へのダメージが少ない)、ブツ持ち撮影時に前へ伸ばし強調できる。といった項目も挙げられます。

こういったメリットのあるフィッシュグリップは、様々なタイプが販売されているものの、基本的な使い方はどれも同じです。

フィッシュグリップの使い方

グリップ周辺に設置されている、トリガーを引いてクリップを開き、魚の口を挟んだ後は、トリガーを戻してクリップを閉じるだけの簡単操作。

1.トリガーを引く
トリガーを引く

2.魚の口に入れる
魚の口に入れる

3.トリガーを離す
トリガーを離す

魚を釣った後、口がパクパクしているタイミングを見計らって、スッと挟み込んであげるとスムーズに使用する事が出来ます。

一方、口を開いていない場合は、フィッシュグリップの先端を魚の口に触れさせる事により、反射的に口を開くのでスッと挟み込みます。

このように、フィッシュグリップを掛けた後、魚からフックを外してあげれば、不意の首振りで怪我をする事も無くなりますし、魚を触るのが苦手な方でも釣りを楽しむ事が出来るかと。

フィッシュグリップを使うデメリットについて

前項のように、フィッシュグリップを使う事によって得られるメリットは多々ありますが、一方で利用する事により起こるデメリットも。

それは、フィッシュグリップの接点が小さいため、ロックしている魚の口(下顎の薄皮部分)を貫通し、魚体に穴を開けてしまう可能性がある事。

矢印部分
フィッシュグリップの穴

エラから締める際、フィッシュグリップを貫通させてしまった、お持ち帰りタチウオの写真です。持つ角度が悪かったり・掛けどころが悪かったり・魚が暴れたりすると、こういった感じで下顎を「貫通」してしまう事があります。

この部分を巡り、「不用意に魚体を傷付けるな!!」という事で、ネットでは個人を攻撃する炎上騒動が起こる事も多々ありました…。

この議論について、自分としては結論を出す事は出来ませんが、釣った魚をリリースする場合、可能な限りダメージの少ない状態で戻してあげたいのは、どんな釣り人でも同じかと思います。

※余談ですが…。今年の夏から、子供達が持ち帰ったお祭り金魚を飼い始めたものの、ほんの些細な事で病気になったり割と神経を使います。

自然の中で育っているからとはいえ、下顎を貫通するほどの傷がついてしまうと、捕食の問題よりも、その部分からの感染症の方が気になるところです…。

フィッシュグリップを使う際の注意点

それでは、釣った魚をフィッシュグリップで掴む際、接点となる下顎を貫通させない為に、どのような部分に気をつければ良いのか。

基本的には、「フィッシュグリップの持ち方(角度)」と、「魚が暴れた時の対処」の二点が重要になるかと。

フィッシュグリップの握り方について

フィッシュグリップを握る際、下顎を挟んでいる接点に角度が付いてしまうと、魚の自重によってテコの原理のようになり、薄皮を簡単に貫通してしまいます。

なので、一定の高さよりも上に魚を持ち上げる場合は、下顎を挟んでいるクリップ部分を『縦』にするのでは無く、『横』方向にして持ってあげる事が最重要。

横方向(地面と水平)に持つ
クリップ部分を横方向へ

魚の口を挟み込んだ後、特に意識せずグリップを握ると、スキーのストックのような持ち方になると思います。

手の構造上、グリップを握り込んで下に向ける方が楽ですが、角度が付いてしまうと、魚の自重がダイレクトに下顎へ掛かります。

下方向(スキーストック持ち)
フィッシュグリップが下方向を向く

写真のように、クリップ部分が真下に向いているのであれば、魚を保持する力も入りやすく、オススメ出来る握り方となるものの…。魚を持つ高さによっては、手首の角度が変わってしまう事もあり、その角度が下顎の貫通に繋がります。

魚を持ち上げると…
フィッシュグリップを持ち上げた場合

腰から上に魚を持ち上げる際、下方向(スキーストック持ち)になっていると、ご自身の手首か魚の下顎に相当な圧力が加わる事になるので、意図せず下顎に穴を開けてしまう事に。

一方、クリップが上側に向くよう握り、横方向へ力を逃してあげると、魚が動いても下顎への負担は少なくなります。

※イメージとしては、フライパンや包丁のような持ち方。

1.上方向に持ち
フィッシュグリップが上方向を向く

2.クリップ部分を横向きで保持
クリップ部分を横向きにする

釣れた魚を一定の高さより持ち上げるのであれば、このようにクリップ部分を横方向へ向ける事により、魚の自重で貫通してしまう事を防げます。

魚の下顎を貫通してしまう場合、殆どの原因はフィッシュグリップ向き(握り方)にあり、スキーストック持ちで角度を付けてしまうからかと。

イメージ
イメージ

クリップを下方向(スキーストックのよう)に持つ場合、腕の位置が腰の高さ程度であれば、フィッシュグリップは自然と真下を向くので、ロック部分の圧力が最小限に抑える事が出来るものの…。

釣った魚を持ち歩く場合は、落としてしまわないようスキーストック持ちで問題ありませんが、何かの拍子で腰から上へ魚を持ち上げるのであれば、接点となるクリップ部分の向きに注意して下さい。


魚が暴れた時の対処について

フィッシュグリップの構造は、手で握るグリップ部分と魚を掴むクリップ部分の間にクッション(量り)が付属していたり、グリップからクリップまでが一枚物で繋がっていたりと様々。

フィッシュグリップの種類
フィッシュグリップの種類

そんなフィッシュグリップですが、スズキサイズ以上のシーバスが首を振って暴れた時の衝撃は相当な物です。

一枚物のフィッシュグリップ
一枚物のフィッシュグリップ

計量付きフィッシュグリップ
計量付きフィッシュグリップ

私が普段使用しているタイプは、グリップに量りが付属しており、伸縮によって暴れた時の衝撃を多少は逃してくれるものの、一枚物のフィッシュグリップは首振りのパワーをダイレクトに受けます。

ジョイント部分
ジョイント部分

伸縮します
伸縮します

その際、暴れる魚を落とさないようググっと力を込めて握ってしまうと、今度はその力が接点となる下顎に掛かってしまう…。

この時、縦方向へ角度が付いた状態で固定していると、簡単に下顎を貫通してしまうので、魚が暴れた際は落とさないよう強く握るものの、手首はフルロックせず遊びのある状態で動きに追従するようなイメージかと。

ブツ持ち撮影の注意点

魚が釣れた時や自己記録を更新した時、その魚を持って写真(ブツ持ち写真)を撮るアングラーさんも多いかと思いますが、この時もフィッシュグリップの扱いに注意が必要となります。

ブツ持ち写真を撮影する際、アングラーさんと魚がフレームに入るよう、上半身の周辺まで魚を持ち上げて構図を取ります。

その際…
スキーストック持ち

前項で書いたスキーストックのような持ち方をすると、魚の位置と顔の高さを合わせる為に、腕を思いっきり振り上げた状態になります。その時、高確率で下顎部分を傷付けてしまう…。

更には、その持ち方の場合、フィッシュグリップの長さを余分に持ち上げる事になりますし、グリップ方向を握り直さないと、背びれ側が写真に写る事になります。

なので…
クリップを横に向ける

前項でも書いたように、フライパンや包丁のような持ち方でフィッシュグリップを掴み、クリップ部分が下顎に対して横方向になるよう構える事が重要。

そうする事により、魚体は自然と側面を向き、釣った魚の全貌が見やすくなるほか、腕を前に伸ばしやすいので、魚体を強調する事が出来るようになります。一応、参考としてシーバス釣りのスペシャリスト方々のリンクを…。

泉氏&マスオ氏
コアマン道中膝栗毛秋を満喫。

村岡氏
TOKYO SEABASS NET夏の記憶は父が作る

大野氏
SEA SCAPE居るけど活性の低い魚を釣る対処法

フィッシュグリップが横方向になっており、コチラ側に魚が向いているため、ブツ持ち写真も格好良く雰囲気が出てますよね。

皆様笑顔で写ってますが、この撮り方をすると結構な重量が掛かるので、予想以上に辛かったり…。重くて持ち上がらない場合は、濡らした手で尻尾の辺りを持ってあげる。縦持ちで厳しいサイズなら、両手で横持ちにしてあげる。

このように、フィッシュグリップの掴み方を意識する事により、ブツ持ち撮影の完成度も高くなります。後は、手早く撮影し、しっかりとリリースしてあげて下さい。

フィッシュグリップの使い方・まとめ

今回は、フィッシュグリップの使い方から、ブツ持ち撮影の注意点までを書いてみましたが、釣れた魚からフックを外す時や歯の鋭い魚を掴む際に、無くてはならないアイテムとなりました。

一方で、持ち方や使い方を間違えると、魚にダメージを与えてしまう事にも繋がります。※私自身、下顎を貫通させてしまった経験がありますし、意図せず傷つけてしまう事もあります…。

なので、「魚が釣れたら挟む」という感覚だけでは無く、「可能な限りダメージを与えないように挟む」という意識で使用するのが最善かと思います。

持つのが重たい時は…
撮影で重たい時は

フィッシュグリップを短めに掴み、手首から腕に沿わせてあげると、手首に掛かる重さを軽減可能です!!

ブツ持ち写真に関しても、真下にぶら下げるよう掴む方が体勢としては楽ですが、クリップ部を横方向に掴んだ方が魚にも優しく、良い写真を撮る事が出来ます。

文中でも書いたように、意図的に魚を傷付けてやろうと思っているアングラーさんは居ないはず。ただ、穴が開く事により即座にどうこうとはならないかも知れませんが、その部分から広がる感染症の方が気がかりです。

フックを外す時は便利ですが…
フックを外す時は便利ですが…

色々と書いてきましたが、要はフィッシュグリップを使えば色々なメリットがある反面、角度(持ち方)によっては、魚にダメージを与えてしまうという内容でした。

使い慣れたアングラーさんにとっては自然な動作でも、フィッシュグリップを使い始めた方にとっては慣れが必要になるかと思います。こういった注意点もあるという事を知って頂ければ、魚にも優しい釣行になるかも知れませんね。

最後まで読んで頂き、ありがとうございます!!

今回の投稿と同じ「テクニック」にある前後の記事は、下記のようになっております。お時間がある時にでもチェックして頂けると嬉しいです!!

また、6月27日現在「シーバス釣り」には「 195件」の投稿があります。カテゴリー内での人気記事や、ブログの最新記事リストも記載しておきますので、宜しければ合わせてご覧くださいませ。


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